最悪から始まった最高の恋
成田社長の隣に腰掛けていた、お店ナンバーワンのセリカが退き、彩菜は成田社長の右隣に座った。セリカは立ち上がると、席対面側に座っているイケメン社長の隣に腰掛けていた、店ナンバーツーのアリサを退かせ、身を捻じらせ媚びるような笑顔を作り、イケメン社長に寄り添うように腰掛けた。イケメン社長は、セリカの腰に手を回し、満更でも無さそうな雰囲気……。
(あ――嫌だ嫌だ……)いくらイケメン社長でも、こう言う光景を目の当たりにすると急激に冷める。男という生き物は何でこうもスケベでエロで、どうしょうも無い生き物なんだか……。彩菜はふと思った。
いや……。うちの父ちゃんとじいちゃんは、硬派で、妻一筋と言う男気があって、カッコ良かったっけ……。ファザコンやジジコンって訳じゃないけど、母が早くに亡くなり祖母が母代わりで、じいちゃんと父に厳しく躾けられた彩菜は、恋愛=結婚で、将来結婚するなら奥さん一筋の祖父や父のような、男気のある人がいいなと思った。
――だから……。こう言うクラブに来て、ホステス譲とイチャイチャするような男性は、社長だろうが何だろうが恋愛対象外でパス!! と思った。
彩菜が成田社長の右隣に、適度な距離をおき腰掛けた途端に、成田社長は体を密着させるように体をスライドさせて来て、手をスルスルと伸ばして来て、お尻に触れてきた。(ウッ!! 本当に気持ち悪いジジィだ……。 もう報酬の10万円も諦めて、お店をクビになってもいいから、ここから出て行こうかな?と思った。こんな娘の姿を見たら、父ちゃんが草葉の陰で泣いているかもしれない)
成田社長の左隣はママさん。(どうかお願い!! 何かあった時はママさん、フォローして下さいよ〜。)彩菜は祈るような気持ちでSOSの気を送り続けた。
元々ホステスなんて自分には向いていない。と言うか、なろうとも思わない。
父ちゃんとじいちゃんの血と涙と汗と魂の込められた“伝承”のおでんの味を他店に盗まれず、好条件の時給で働ける厨房と言えば……。その条件に見合うお店というのが、今働いている店『club ラインストーン・ティアラ』だった……。
ママさんも色々と修羅場的な場面場面を掻潜ってきた人かもしれないが、バックにヤクザも関わってないような、わりとクリーンな雰囲気の店っぽかった。店の雰囲気もまあまあ……。
丁度店の厨房で働いていた、メインの板前さんが自分の店を開きたいからと辞めていった頃で、料理人至急募集のわずか数行の、新聞に掲載されている求人欄を見て、応募して即決で働く事に決まった。
それから間もなく5年……。ボロアパートで質素な生活&店の売れ残り品の余った食材を分けてもらって食費殆どタダの生活を続けて、お金もかなり貯まった。もうそろそろこの店を辞めようかなとも思って、早めにママさんには言ってあるが、なかなか後釜が見付からず、ズルズルと店に居続けている現状がある。
はぁ……。でも、今日の事で、店をズバッと辞めちゃおうかなとそんな気持ちになった。
(あ――嫌だ嫌だ……)いくらイケメン社長でも、こう言う光景を目の当たりにすると急激に冷める。男という生き物は何でこうもスケベでエロで、どうしょうも無い生き物なんだか……。彩菜はふと思った。
いや……。うちの父ちゃんとじいちゃんは、硬派で、妻一筋と言う男気があって、カッコ良かったっけ……。ファザコンやジジコンって訳じゃないけど、母が早くに亡くなり祖母が母代わりで、じいちゃんと父に厳しく躾けられた彩菜は、恋愛=結婚で、将来結婚するなら奥さん一筋の祖父や父のような、男気のある人がいいなと思った。
――だから……。こう言うクラブに来て、ホステス譲とイチャイチャするような男性は、社長だろうが何だろうが恋愛対象外でパス!! と思った。
彩菜が成田社長の右隣に、適度な距離をおき腰掛けた途端に、成田社長は体を密着させるように体をスライドさせて来て、手をスルスルと伸ばして来て、お尻に触れてきた。(ウッ!! 本当に気持ち悪いジジィだ……。 もう報酬の10万円も諦めて、お店をクビになってもいいから、ここから出て行こうかな?と思った。こんな娘の姿を見たら、父ちゃんが草葉の陰で泣いているかもしれない)
成田社長の左隣はママさん。(どうかお願い!! 何かあった時はママさん、フォローして下さいよ〜。)彩菜は祈るような気持ちでSOSの気を送り続けた。
元々ホステスなんて自分には向いていない。と言うか、なろうとも思わない。
父ちゃんとじいちゃんの血と涙と汗と魂の込められた“伝承”のおでんの味を他店に盗まれず、好条件の時給で働ける厨房と言えば……。その条件に見合うお店というのが、今働いている店『club ラインストーン・ティアラ』だった……。
ママさんも色々と修羅場的な場面場面を掻潜ってきた人かもしれないが、バックにヤクザも関わってないような、わりとクリーンな雰囲気の店っぽかった。店の雰囲気もまあまあ……。
丁度店の厨房で働いていた、メインの板前さんが自分の店を開きたいからと辞めていった頃で、料理人至急募集のわずか数行の、新聞に掲載されている求人欄を見て、応募して即決で働く事に決まった。
それから間もなく5年……。ボロアパートで質素な生活&店の売れ残り品の余った食材を分けてもらって食費殆どタダの生活を続けて、お金もかなり貯まった。もうそろそろこの店を辞めようかなとも思って、早めにママさんには言ってあるが、なかなか後釜が見付からず、ズルズルと店に居続けている現状がある。
はぁ……。でも、今日の事で、店をズバッと辞めちゃおうかなとそんな気持ちになった。