最悪から始まった最高の恋
成田社長から開放されて、円城寺社長の席側に移動すると、隣に座っていたナンバーワンのセリカが『フンッ!!』と言う態度で一瞬ギッと彩菜を睨み席を立ち上がった。(うわぁ……。これが女の戦いってやつかぁ)と妙に納得しながら、彩菜は成田社長と同様に、スペースを空けて円城寺社長の隣に座った。
「名前はなんて言うの?」
グラスを傾け、流し目のような色香のある目で睨まれ、彩菜はドキリとした。
「は……はい。御蔵彩菜です」
その瞬間全員がシーンとした。
「年は?」
「はい……。26歳です」
「なんだい。若い子だと思ったら、結構年増じゃないかい!!」
円城寺社長と彩菜の会話を聞いていた成田社長が、『あ〜この子パス!!』みたいなしかめっ面をして、ボソッと時限爆弾発言をした。その瞬間ドワッと全員が笑い出した。
彩菜は、あんたの方が凄いオッサンじゃん!!と心の中で抗議した。
「あやなちゃん、普通名前を聞かれたら源氏名を言って、自分のお名刺をお客様に渡すのが決まりって言うか……。本名は言わないし……」
ナンバーワンのセリカが『フフン』と笑い飛ばすような顔をしながら、苦々しく言った。
「それにぃ。普通実年齢よりもサバ読むしぃ。アリサは実年齢の21歳だけどぉ」
アリサもコロコロ笑いながら、面白そうに言った。
「えっ……。そ……そうなんですか?」
あっちゃ〜っ。実名と年言っちゃったよぉ〜。ママさんも何も言ってくれないし……。店の子は皆トゲトゲしてて意地悪だし……。(こんな店早く辞めちゃおうっと!)と彩菜は思った。
今まで厨房の中にいて、厨房の中の雰囲気は、職人気質と言うのか硬派な雰囲気も漂い、居心地の良い職場だった。だからここまで長く努める事が出来たのかもしれない……。
厨房の中と外ではこんなにも世界が違うんだと改めて感じた。厨房の中に居る時にはママさんも人当たりが良くて、良い人かと思ったが、店に出て見るとなんかいつもと違う人と言うのだろうか……。今まで抱いていた印象と何か違うのだ。
もし私がホステスだったら一日も持たなかっただろうな……。改めてそう感じた。
それから今まで抱いていた店に対する比較的いい印象もガタッと下がってしまった気がした。
出来るだけ早く辞めてやるぞ!! と思ったら、もうどうでも良くなった。エキストラ的なホステスと言う約束で店に出たのだし、営業成績にも響かないし、別にこんな社長達の気を使う事も無いや!! まあ、退職金代わりの報酬10万円は貰っておかなければ……。後数時間の我慢だ!!! 彩菜は自分に気合いを入れた。
「さ……さ、円城寺さん、この店にご招待したのもここのおでんを食べて頂きたいと思ってね。是非是非お熱い内に……」
成田社長がおでんの盛り合わせを円城寺社長に勧めた。
それを見て、彩菜はとても嬉しく思った。普段は店内のお客様の姿とかは全く見れないし、様子も分からない。ただ、おでん盛り合わせの大皿がいつも綺麗に空になって厨房に戻って来るのを見て、ああ、気に入って頂いてるんだなぁと感じ取れる事だけだ。
自分の作ったおでんを食べる、美味しそうで幸せそうな顔を一度見てみたいなと常々思っていた。
「名前はなんて言うの?」
グラスを傾け、流し目のような色香のある目で睨まれ、彩菜はドキリとした。
「は……はい。御蔵彩菜です」
その瞬間全員がシーンとした。
「年は?」
「はい……。26歳です」
「なんだい。若い子だと思ったら、結構年増じゃないかい!!」
円城寺社長と彩菜の会話を聞いていた成田社長が、『あ〜この子パス!!』みたいなしかめっ面をして、ボソッと時限爆弾発言をした。その瞬間ドワッと全員が笑い出した。
彩菜は、あんたの方が凄いオッサンじゃん!!と心の中で抗議した。
「あやなちゃん、普通名前を聞かれたら源氏名を言って、自分のお名刺をお客様に渡すのが決まりって言うか……。本名は言わないし……」
ナンバーワンのセリカが『フフン』と笑い飛ばすような顔をしながら、苦々しく言った。
「それにぃ。普通実年齢よりもサバ読むしぃ。アリサは実年齢の21歳だけどぉ」
アリサもコロコロ笑いながら、面白そうに言った。
「えっ……。そ……そうなんですか?」
あっちゃ〜っ。実名と年言っちゃったよぉ〜。ママさんも何も言ってくれないし……。店の子は皆トゲトゲしてて意地悪だし……。(こんな店早く辞めちゃおうっと!)と彩菜は思った。
今まで厨房の中にいて、厨房の中の雰囲気は、職人気質と言うのか硬派な雰囲気も漂い、居心地の良い職場だった。だからここまで長く努める事が出来たのかもしれない……。
厨房の中と外ではこんなにも世界が違うんだと改めて感じた。厨房の中に居る時にはママさんも人当たりが良くて、良い人かと思ったが、店に出て見るとなんかいつもと違う人と言うのだろうか……。今まで抱いていた印象と何か違うのだ。
もし私がホステスだったら一日も持たなかっただろうな……。改めてそう感じた。
それから今まで抱いていた店に対する比較的いい印象もガタッと下がってしまった気がした。
出来るだけ早く辞めてやるぞ!! と思ったら、もうどうでも良くなった。エキストラ的なホステスと言う約束で店に出たのだし、営業成績にも響かないし、別にこんな社長達の気を使う事も無いや!! まあ、退職金代わりの報酬10万円は貰っておかなければ……。後数時間の我慢だ!!! 彩菜は自分に気合いを入れた。
「さ……さ、円城寺さん、この店にご招待したのもここのおでんを食べて頂きたいと思ってね。是非是非お熱い内に……」
成田社長がおでんの盛り合わせを円城寺社長に勧めた。
それを見て、彩菜はとても嬉しく思った。普段は店内のお客様の姿とかは全く見れないし、様子も分からない。ただ、おでん盛り合わせの大皿がいつも綺麗に空になって厨房に戻って来るのを見て、ああ、気に入って頂いてるんだなぁと感じ取れる事だけだ。
自分の作ったおでんを食べる、美味しそうで幸せそうな顔を一度見てみたいなと常々思っていた。