最悪から始まった最高の恋
――円城寺社長の、おでんを食べる所作が綺麗だなと思った。
小皿に載せた汁が染み込んだ瑞々しい大根に、すーっとお箸を入れて、一口大に切ったものを口に運ぶその優雅さ……。
父が言っていたっけ……。御飯を綺麗に食べる人に悪い者はおらん!!と。 その事が本当なのかどうなのかは別として、美しい所作で溢さずに綺麗に御飯を食べる人には魅かれる所があった。
まあ、だからと言って、円城寺社長にほれる事もないけれどね。食事に関しては合格をあげようと思った。(まあ、あちらにしては大きな迷惑でしょうが……)
「ほほう……。成る程。成田さんのおっしゃる通り、ここのおでんは本格的な味がしますね」
じっくりと噛みしめて、あの大根が喉をすーっと通った後に、円城寺社長は、感嘆の声を上げた。
「でしょ、でしょ、でしょ。きっと気に入って下さると思って、このおでんをぜひ味わって頂きたいなと思ってね」
ニカーッと勝利に満ちた様な笑顔で、成田社長が膝をポンと手で一叩きして、嬉しそうに言った。
「こんな味が出せるなんて、一流の所で修業したような、本格的な板前さんを雇われてるのですか?」
円城寺社長がママさんに興味津々の顔で聞いた。
「エっ……ええ。まあ。あまり規模の大きくないお店ですしね。うちはお料理にはちょっと拘っててね、いい板前さんを入れてるんですのよ。おホホホ……」
一瞬チラリと彩菜の方をみてから、若干バツの悪そうな顔をしつつ、ママさんが答えた。
うそつけ……。彩菜は思ったが、ニコニコした顔をして、その話しは聞き流す事にした。“一流”と言ってくれた、円城寺社長の言葉や、ここのおでんを凄く気に入ってくれた成田社長のその様子がとても嬉しかった。
『なんか……。凄く励まされるなぁ!!』
彩菜は心の中がルンルン♪ と踊るような気持ちになった。
「このおでんには、幻の銘酒『淡雪牡丹』が合うと思うのですが……。円城寺さんはどう思われますか?」
成田社長がおでんに舌鼓を打ちながら、満足そうな顔をしながら言った。
「本当に!! 私も同感ですね。 ひとくち目はサッパリした口当たりなのですが、飲み進めて行く程に濃厚な風味が喉元を通過して、嫌みのない濃さというのでしょうかね」
おでんがよっぽど気に入ったのか、嬉しそうに会話を弾ませる円城寺社長。
「でしょ、でしょ、でしょ、私も同じですよ」
ガッハッハと豪快に笑い続ける成田社長。
「さ……さ。皆も好きな物を注文して。今日はどんどん飲んで騒ごうじゃないか!!」
「ご馳走になります」
「成田社長、ありがとうございます」
「ご馳走さまです」
成田社長の号令で、皆一斉にお礼を言い、どんどんとお酒とおつまみを運び始めた。
「御蔵彩菜さんも、さあ、飲んで!!」
「は……はい。ご馳走になります」
円城寺社長からお酒を勧められて、彩菜もお酒をひとくち口にした。
小皿に載せた汁が染み込んだ瑞々しい大根に、すーっとお箸を入れて、一口大に切ったものを口に運ぶその優雅さ……。
父が言っていたっけ……。御飯を綺麗に食べる人に悪い者はおらん!!と。 その事が本当なのかどうなのかは別として、美しい所作で溢さずに綺麗に御飯を食べる人には魅かれる所があった。
まあ、だからと言って、円城寺社長にほれる事もないけれどね。食事に関しては合格をあげようと思った。(まあ、あちらにしては大きな迷惑でしょうが……)
「ほほう……。成る程。成田さんのおっしゃる通り、ここのおでんは本格的な味がしますね」
じっくりと噛みしめて、あの大根が喉をすーっと通った後に、円城寺社長は、感嘆の声を上げた。
「でしょ、でしょ、でしょ。きっと気に入って下さると思って、このおでんをぜひ味わって頂きたいなと思ってね」
ニカーッと勝利に満ちた様な笑顔で、成田社長が膝をポンと手で一叩きして、嬉しそうに言った。
「こんな味が出せるなんて、一流の所で修業したような、本格的な板前さんを雇われてるのですか?」
円城寺社長がママさんに興味津々の顔で聞いた。
「エっ……ええ。まあ。あまり規模の大きくないお店ですしね。うちはお料理にはちょっと拘っててね、いい板前さんを入れてるんですのよ。おホホホ……」
一瞬チラリと彩菜の方をみてから、若干バツの悪そうな顔をしつつ、ママさんが答えた。
うそつけ……。彩菜は思ったが、ニコニコした顔をして、その話しは聞き流す事にした。“一流”と言ってくれた、円城寺社長の言葉や、ここのおでんを凄く気に入ってくれた成田社長のその様子がとても嬉しかった。
『なんか……。凄く励まされるなぁ!!』
彩菜は心の中がルンルン♪ と踊るような気持ちになった。
「このおでんには、幻の銘酒『淡雪牡丹』が合うと思うのですが……。円城寺さんはどう思われますか?」
成田社長がおでんに舌鼓を打ちながら、満足そうな顔をしながら言った。
「本当に!! 私も同感ですね。 ひとくち目はサッパリした口当たりなのですが、飲み進めて行く程に濃厚な風味が喉元を通過して、嫌みのない濃さというのでしょうかね」
おでんがよっぽど気に入ったのか、嬉しそうに会話を弾ませる円城寺社長。
「でしょ、でしょ、でしょ、私も同じですよ」
ガッハッハと豪快に笑い続ける成田社長。
「さ……さ。皆も好きな物を注文して。今日はどんどん飲んで騒ごうじゃないか!!」
「ご馳走になります」
「成田社長、ありがとうございます」
「ご馳走さまです」
成田社長の号令で、皆一斉にお礼を言い、どんどんとお酒とおつまみを運び始めた。
「御蔵彩菜さんも、さあ、飲んで!!」
「は……はい。ご馳走になります」
円城寺社長からお酒を勧められて、彩菜もお酒をひとくち口にした。