双子なシンデレラ
「そ、そんな! 私たちに夕食を作れっていうの!? お父さまが亡くなったっていうのに、そんなことする気分じゃないわ!!」


 ようやくショックから立ち直ったローズが、勢いよく立ち上がって抗議しました。

 立ち上がったローズにつられ、ティアラも不安そうに立ち上がります。

 立ち上がった二人の手は、しっかりと力強く握り締められておりました。


「……作らない、というのかい」


 そんな双子を、継母たちは冷たく鋭い目線で見つめます。


「……そ、そうよ」


 ローズが立ち向かうようにはっきりと言い、ティアラはうなずきました。


「……そうかい」


 ほんの数秒、双子と継母たちの無言の責めぎあいがありました。

 最初に口を開いたのは継母です。


「なら、この家を出ていってもらうしかないねぇー。主人がいなくなったから、何もしない子をおく余裕はないんだよ」


 うそでした。

 亡くなった双子の父はお金持ちで、この五人が生活するには十分すぎるほどの財産があったのです。

 ですが、まだ十二歳の子供にはそんなことはわかるはずがなく、その継母の言葉に双子は息をつまらせました。

 しかし、聡明なローズは何かがおかしいことに気付いて言葉を紡ごうとしたとき、カリナとコーリンに突き飛ばされました。

 それはローズだけではなく、横にいたティアラもです。

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