双子なシンデレラ
とても小さい女の子が、明るい森の中を走り回っていました。
屈託のない笑顔で、見ている人が思わずほほ笑んでしまうような女の子です。
珊瑚色の唇からは、鈴をころがすような笑い声があふれ出ていました。
「おい、何がそんなに楽しいんだ?」
そんな女の子が走っていたら、突然頭の上から声をかけられました。
女の子はクルッとその場で回って振り返ります。
女の子が着ている、金にも見える黄色のワンピースのスカートが、ふわっと軽やかに舞いました。
そんなことなど気にせずに女の子が上を向くと、一人の少年が木の枝に座って顔を傾げています。
闇色の服に身を包んでいる男の子はどこか大人びていますが、どう見ても女の子と同じくらいの年か少し年上でしょう。
とても端正な顔つきで、まるで彫刻のようです。
しかし闇色の黒服と少しだけ違う夜色の髪が風で動き、同色の右目と紫色の左目が強い輝きを放っているので、男の子が彫刻ではないことを示していました。
「……あなたは?」
女の子は、少し考えてから言葉を発しました。
強い光を放っている双眸で、遠慮がちに男の子を見つめます。
ですが、不思議そうにしてますが楽しそうに笑顔を浮かべ、その碧(あお)い瞳は好奇心と意志の強さで、とても魅力的に輝いていました。