桜涙 ~キミとの約束~


「……約束……」


まだ少し寝ぼけたままだったけど、夢の中の私が口にした言葉を声にしてみる。


約束をしていた。

ひとりぼっちだと泣いていた少年に、ずっと一緒にいると。


……これは、夢じゃない気がする。

確信はないけれど、私はこの光景を確かに知っている気がした。


小さい頃……私は、誰と約束をかわしたんだろう?


「ひとりぼっちに、なってしまった子……」


ひとりぼっちと言えば、思い出すのは奏ちゃんだ。

子供の頃に確かにそう聞いた。

でも、夢の中の光景と私たちの出会いの光景が一致しない。

だとすると別の人なのか、それとも夢の中で過去が改ざんされてしまっているのか。


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