桜涙 ~キミとの約束~
✿病い
──気が付くと、リクの腕の中だった。
「小春っ、良かった。今、救急車呼んだから」
リクはそう言うと、腕の中で横たわる私の様子を心配そうに伺いながら、安心させるように微笑む。
息が、苦しい。
まるで呼吸の仕方を忘れてしまったかのようで、私は必死に息を整えようと努力する。
なんだか体もしびれてる。
私の体に、何が起きてるの?
苦しくて、苦しくて。
ギュッと瞼を閉じた瞬間、リクが奏ちゃんの名前を呼んだ気がした。
次いで、誰かの手が私の頭を撫でる。
その感覚にゆっくりと瞼を持ち上げれば……
心配そうな面持ちの奏ちゃんが、私の目に映った。