桜涙 ~キミとの約束~


朝食後のディルームは、ガランとしていて私の他には誰もいなかった。

広々としていてちょっと寂しい気もするけど、ここは日の光もたくさん入るし、病室にいるよりかは元気になりそうで。

私は端の方に置かれている雑誌を適当に手にすると、窓際の一番暖かそうな席に腰を下ろす。

すると、その時。


「あれっ、あたしより先がいた」


明るい声に落としかけていた視線を上げると、そこにはポニーテールの女の子が一人立っていた。

同じ年くらいかな?

私はちょっと緊張しながらお辞儀をする。


「おはようございます」

「おはよーございます。ねねっ、もしかして最近入院してきた子?」


人見知りしないのか、その子は私の向かい側に腰掛け身を乗り出すように聞いてきた。


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