桜涙 ~キミとの約束~
「ここ、あたしのお気に入りの場所でさ。晴れてる日は特にいいんだ。ポカポカするし、景色もいいし」
確かにここは悪くない場所だと私も思ったから「本当だね」と声にしながら頷いて肯定する。
梢ちゃんはまた満足気にウンウンと首を縦に振って。
「で、毎日ここに来てるんだけど、いつもあたしが一番乗りだったから、小春ちゃんがいてビックリしたわ」
ああ、それで最初のセリフだったんだ。
納得していると、梢ちゃんは少しだけ咳き込んだ。
「大丈夫?」
心配になって声をかけると、梢ちゃんはまだ咳をしながらも苦い笑みを浮かべて。
「ッ、ゴホ……ん、平気。でも、ちょっと戻るね」
そう言って立ち上がった。
けれど、すぐに立ち去ろうとはせずに、また私の名前を呼ぶ。
「小春ちゃん、検査結果はいつ出るの?」