桜涙 ~キミとの約束~
……どうしてかな。
大切にされる事が、こんなにも悲しいような気持ちになる。
前はそんな事なかったのに。
やっぱりこれは、あの日、奏ちゃんが変な捉え方をしたからだろう。
ずっと言えずにいたけど……
勘違いさせてしまったのなら、ちゃんと正さないとならないから。
私は、なるべく落ち着いた雰囲気で奏ちゃんに話し掛けた。
「あのね、奏ちゃん。約束の事だけど……」
「約束?」
不思議そうに、僅かに首を傾けた奏ちゃん。
「昔の約束」
私が少しの笑みと共に教えると、奏ちゃんは「ああ、その話か」と零し微笑んだ。
「それがどうかしたの?」
問われて、私はなるべく明るく努めながら話す。