桜涙 ~キミとの約束~


「……そう。ここでも、かなわないんだな」


また、だ。

どうしてだろう。

どうしてそんなにリクにこだわるんだろう。


「奏ちゃん……リクと、何かあったの?」


これも聞けなかった事。

聞きたかった事。

それを今、自然と口にできた。

奏ちゃんは私を見ないまま、小さな声で言う。


「……どうかな。でも……小春は僕を選んだ。だから、問題はないんだ。そう、ないんだよ」

「選んだって……私はね」

「頼むよ……」


泣きそうな微笑み。


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