桜涙 ~キミとの約束~
「不整脈が出る場合は、突然失神を起こしたり……最悪、突然死する場合があるんだって」
告げると、リクの顔が青ざめた。
「それって、小春が倒れた時の?」
問われて、私はコクりと頭を縦に振る。
全ての不整脈が死に直結するものじゃないと先生は言ってた。
それでも、死に至る不整脈が起こる可能性はあるのだとも。
「そっか……そりゃ、怖いよな」
静かなトーンで言われて、私は再び頷く。
そうして、そのまま俯いて顔を上げられなくなってしまった。
今顔を上げたら、リクの顔を見たら……涙を流してしまう気がしたから。
不意に、リクが立ち上がる。
そして、俯いたままの私の隣りに腰を下ろして……
トントンと、私の背中を宥めるように叩いた。
リクの温かい手が、何度も繰り返し私の背中を優しく叩く。
たったそれだけの行為。
それが不思議と私の不安を少しずつ溶かしてくれて、安堵感が広がっていくのがわかった。
同時に、気付く。