桜涙 ~キミとの約束~
この温もりの大切さに。
リクという存在の、大切さに。
顔を上げて隣りに腰を下ろすリクを見れば、彼は首を傾げて。
私は、声にして告げる。
「リク……ありがと」
声を聞かせてくれてありがとう。
駆けつけてくれてありがとう。
今この時、そばにいてくれて……
ありがとう。
いつの間にか、窓の外には夕空が広がっていて。
背中から差し込むオレンジ色を浴びたリクの微笑みは、とても優しかった。