桜涙 ~キミとの約束~
辿りついたディルーム。
昨日よりも少し遅い時間に来た私は、昨日座った席に、梢ちゃんが腰をおろしているのを見つけた。
彼女は開いたノートに、ペンを走らせ文字を綴っている。
「おはよう、梢ちゃん」
声をかければ、梢ちゃんはポニーテールを揺らし、顔を上げた。
私の姿を確認すると、ニッコリと笑う。
「おっはよー。また会っちゃったねー」
アハハと明るく笑った梢ちゃん。
私がまだここに来るという事が、どういう事か理解しているんだろう。
「会っちゃったね」
私も笑ってみせたのだけど、どうやらうまく笑えてなかったみたいで。
梢ちゃんは、心配そうな笑みを向けながら、ポンポンと自分の席のテーブルを指で叩いた。
「良かったらお話ししようよ」
「うん……」
お邪魔しますと告げて、私は梢ちゃんの向かい側に座った。
彼女のひとつに結ばれたこげ茶の髪が朝日に照らされて、綺麗な薄茶色に輝いている。