桜涙 ~キミとの約束~


「聞いちゃいけなかったらごめんね。けどさ、いいよね。駆けつけてくれる人がいるのって」

「……うん。そうだね」


リクが来てくれた時の事を思い出して、私は微笑みを浮かべた。

すると、梢ちゃんは「しかもイケメンだもんなー」と茶化すように笑いながら言った。


梢ちゃんの笑顔は、私にパワーをくれる気がする。

人を元気にする才能があるのか?


私は梢ちゃんのそんな力に、彼女になら……と思い、リクが駆けつけてくれた原因を口にする。


「私ね、特発性拡張型心筋症って病気だったよ」


伝えると、梢ちゃんは「そっか……」と頷いてから……


「あたしと同じ病気かぁ」


そう、零した。


「同じなの? 梢ちゃんも?」


少し驚いて梢ちゃんを見つめれば、彼女は口元に笑みを残したまま教えてくれる。


「そうだよ。ちなみに、特発性って原因不明って意味なんだって」

「そうなんだ……」


< 181 / 494 >

この作品をシェア

pagetop