桜涙 ~キミとの約束~
「聞いちゃいけなかったらごめんね。けどさ、いいよね。駆けつけてくれる人がいるのって」
「……うん。そうだね」
リクが来てくれた時の事を思い出して、私は微笑みを浮かべた。
すると、梢ちゃんは「しかもイケメンだもんなー」と茶化すように笑いながら言った。
梢ちゃんの笑顔は、私にパワーをくれる気がする。
人を元気にする才能があるのか?
私は梢ちゃんのそんな力に、彼女になら……と思い、リクが駆けつけてくれた原因を口にする。
「私ね、特発性拡張型心筋症って病気だったよ」
伝えると、梢ちゃんは「そっか……」と頷いてから……
「あたしと同じ病気かぁ」
そう、零した。
「同じなの? 梢ちゃんも?」
少し驚いて梢ちゃんを見つめれば、彼女は口元に笑みを残したまま教えてくれる。
「そうだよ。ちなみに、特発性って原因不明って意味なんだって」
「そうなんだ……」