桜涙 ~キミとの約束~
「ありがとう、話してくれて。でも、ひとりぼっちじゃないよ。心美ちゃんは、お兄ちゃん大好きだし」
「そうだね」
アハハと笑った奏ちゃん。
「私とリクもいるよ」
だからひとりなんかじゃない。
伝えると、柔らかく微笑む奏ちゃん。
「そうだね。でも僕には、小春がいてくれればいいから」
告げると、立ち上がり大きな手でくしゃりと私の頭を撫でた。
「今日はそろそろ帰るよ。また来る」
鞄を手にして、私に背を向けた奏ちゃん。
来てくれてありがとうと口にしようとした時、奏ちゃんが振り返る。
「小春」
「ん?」
「この前も今日も、みっともないとこ見せてごめん」
言って、奏ちゃんは眉をハの字にしてから、私の返事を待たずに帰って行った。