桜涙 ~キミとの約束~
病院を出て賑わう駅前を通り抜け、大通りを走り続ける事約20分。
住宅街に入ってまもなくすると、車は自宅前に到着した。
ひと月以上の入院生活のらいか、見慣れていた景色がとても懐かしい気がする。
「ただいまぁ!」
玄関に足を踏み入れると、懐かしい我が家の匂い。
とても安心する匂いに、帰ってきたんだと実感。
私より先に家の中に入っていたお母さんが、キッチンから声を発した。
「お昼、今から用意するから、できるまでゆっくりしてなさい」
「はーい」
返事したタイミングで、車から荷物を運んでくれてるお父さんが家に入ってくる。
「ありがとう、お父さん」
手を伸ばして荷物を受け取ろうとすると、お父さんは私の顔を見るなり「嬉しそうだな」と笑った。
だから私は「当然嬉しいよ」と返して、笑顔で荷物を受け取った。