桜涙 ~キミとの約束~
お昼はお母さん特製のオムライス。
病院のご飯とは違う味に小さな感動を覚えた私は、やっぱり家が一番だなぁと痛感する。
ごちそうさまと手を合わせ、すぐに病院でも飲んでいた薬を飲んで。
私は両親にリクと奏ちゃんのとこに行ってくると伝えると、お気に入りのカゴバックに必要なものと水分補給用のミネラルウォーターを入れ、麦わら帽子を被ると元気よく外出した。
玄関から外に出れば、途端にセミの鳴き声が私を迎える。
まずはリクに会いに行こう。
というか……リクに、会いたかった。
入院中も常に思ってた。
リクのお陽さまみたいな笑顔が見たいなって。
ちなみに、リクが来てくれたのは、駆けつけてきてくれたあの一度きり。
もしかしたら、私がねだればお見舞いに来てくれたのかもしれないけど……
そうしなかったのは、頑張りたかったから。
必ず退院出来るようになって、私から会いにいく。
それを目標にしていた。
今日はそれが叶う日。
私は早る気持ちを抑えつつ、真夏の空を仰ぎ見てからリクの家へと向かった。