桜涙 ~キミとの約束~


退院した日。

はらっぱでリクと別れてから私は、予定通り奏ちゃんを驚かしに行った。

リクに続き、私の突撃に奏ちゃんはしっかりと驚いてくれて。

しかも、奏ちゃんのお父さんから退院祝いにってケーキをいただいちゃったりもした。

その時に、今年も三人で夏祭りへ行こうって話をしたんだけど、奏ちゃんは店の手伝いでどうしても遅れちゃうらしく、リクと二人で先に行く事になったのだ。


……実は、三人でお祭りに行く事を奏ちゃんに話した時、奏ちゃんは少し迷った素振りを見せた。

多分、リクがいる事がひっかかってたんだと思う。

でも了承したのは、毎年一緒だったから。

今まで通りではいられないと言っていたリクでさえ、三人で行くと言ったのだから、当然奏ちゃんもそれで落ち着いたんだと予想した。


「お店が落ち着くのは七時くらいかもって言ってたよ」


カバンから携帯を取り出して時刻を確認すれば、今はまだ六時を過ぎたところ。

奏ちゃんからの連絡も残ってはいない。


「そっか。んじゃ、今ならオレの役目かな。……はい」


差し出される手。


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