桜涙 ~キミとの約束~
「……なに?」
「はぐれないように。それと、小春が人に酔って体調悪くなっても支えられるように、手、繋ごう」
「えっ……」
恥ずかしくて、戸惑っていると。
「あ、抱っこの方がいい?」
「手がいいです!」
抱っこ案を拒否すると、クスクスと笑うリク。
「そ? じゃあどうぞ、お姫様」
リクの手がそっと差し出されて、私は頬に熱を感じながらも彼の手に自分の手を重ねた。
しっかりと握られた手に感じる、リクの体温。
夏の気候のせいか、リクの手は温かい。
だけど、私の頬の熱は……
気候のせいではなく、紛れもなくリクのせいで。
──トクトクトク。
心臓が少し慌ただしく騒いでる。
だけど、不思議と安心感もあって……
リクと手を繋ぎ、人の波を縫うようにして歩きながら、ふと思う。