桜涙 ~キミとの約束~
「まったく二人共、どうして毎年繰り返すんだか……」
「うっ……ごめんなさーい」
「ごめんちゃーい」
本当に、毎年どうしてこうなってしまうのか。
いや、本当は自分が甘いからなのは承知してる。
でもでもっ、夏休みはどうしてもソレを後回しにしてしまうわけで!
「ほら小春、そこ間違ってる」
「ええ~…何が違うの?」
ああ……
数式もだけど、夏休みの宿題も絶滅してしまえばいいのに!
消しゴムで間違えた数式を消しながらそんな事を考えていると、ついにギブアップしたのかリクが床に寝転がった。
それを見ておおげさといえるような息を吐いた奏ちゃんは、仕方ないといった様子で呟く。
「頑張れば父さんに頼んでおやつもらってくるんだけどなぁ……」
途端に勢い良く起き上がったリク。
「よし、頑張ろうぜ小春」
「ラジャー!」
奏ちゃんの素敵な言葉に、現金な私とリクはやる気スイッチをオンにした。