桜涙 ~キミとの約束~
どうしよう。
とにかく、勝手に聞いちゃってごめんなさいって、謝ったほうがいいよね。
思い至って、私はうつむきそうになる顔をグッと上げ直し、リクを見た。
すると──
「ゼリーって新作ゼリー?」
「え……あ、うん……」
いつの間にか、リクの表情はいつものにこやかなものになっていて。
「それがどうした?」
「え、と……奏ちゃんのお母さんが、何味が食べたいかって……」
「食べれるの? やっりー! オレ、自分の目で見て決める」
ウキウキしながら階段を降りていくリク。
その様子をまだ動揺しつつも瞬きしながら見ていたら、奏ちゃんが部屋から出てきて。
私はゼリーの説明をすると、リクに続き奏ちゃんと一緒に一階へと向かったのだった。