桜涙 ~キミとの約束~
機嫌を悪そうにしてるわけではない。
かと言って、良さそうでもない。
リクはただ、前を見て歩くだけ。
時折、夕暮れの色に変え始めた空を眺めながら。
そして……やがて、分かれ道にさしかかる。
ここからは、別々の道。
リクのお母さんの話は気になるけど、リクから触れない以上は……私からは踏み込めなくて。
だから、私は笑顔を作った。
「それじゃ、またね」
言って、手を振った。
……けれど。
リクは、動かなかった。
ただ私を、真っ直ぐに見ている。
「……リク?」
どうしたのかと首を傾げると、彼は微笑し唇を動かす。