桜涙 ~キミとの約束~
「お母さんの事だって、リクのせいなんかじゃない。リクは何も悪くないんだよ」
「でも、オレ……母さんを止める事、出来なかった」
「リク……」
後悔を背負い続けるリクに、どんな言葉をかけてあげたらいいのかわからない。
少しでも彼の負担を減らしてあげたくて、言葉を探していたら……
「……これが、オレの昔話。どうしようもない昔話」
そう言って、痛みを隠すようにリクが笑う。
同時に、話の終わりを告げるように、窓から入り込んだ優しい風がカーテンを揺らした。
リクはジュースを一口飲むと、気持ちを切り替えるように明るい声を出す。
「ごめんな。話してなくて」
聞いても気持ちいい話じゃないだろうし、優しいお前の事だから変に気を使うかもしんないと思って言わなかったと、リクは申し訳なさそうに眉を寄せて微笑んだ。
そして、ひと呼吸を置いてから、また言葉を続ける。