桜涙 ~キミとの約束~
「それじゃあ、またな」
私を家の前まで送ってくれたリクが、踵を返して今来た道を戻っていく。
ジーンズのポケットに手を突っ込み、ゆっくりと歩くリクの背中が何だか寂しそうで……
「……リクッ……」
思わず、リクを追いかけてしまった。
私の声に振り向いたリクが目を見開く。
「……どした?」
「えっと……送ってあげようかと、思って」
歩み寄りながら説明すれば、リクは少し訝しげな表情になった。
「……は?」
「だから、送ってあげるの」
「送るって、今オレが──」
「もう少し歩きたいの! 散歩のついでです」
寂しそうだから放っておけない、なんて言えなくて。
適当に理由をつけてはみたけど……
リクは私の気持ちを見透かしたのか、おかしそうに小さく笑った。