桜涙 ~キミとの約束~
「慣れ慣れしい」
よっちんは無表情で新谷に言い放つも、新谷は気にもせずにニコニコとよっちんに話しかける。
「俺、執事やろうと思うんだけどさ、安心していいよ」
「……なにが」
「役割上、女の子のお客さん達に尽くしまくるけど、俺の本命は美乃ちゃ──」
「帰ろう、小春」
新谷の声を無情にも切り捨て、スタスタと歩いて行ってしまうよっちん。
「…………」
切り捨てられた新谷は、よっちんに向けた笑顔のまま固まっている。
「あ、えっと……じゃあ、また明日ね、新谷」
よっちんの後を追う前に新谷に挨拶すると、固まっていた新谷が「あ」と声を発して動き出した。