桜涙 ~キミとの約束~
✿泣かないよ
夢を見た。
いつもの桜の夢を。
はらりはらりと振り続ける桜の雨は美しく、儚く。
きっと今日もここに少年がいる……と、思ったのだけれど。
桜の木の下にいたのは少年ではなく……
高校の制服を着た今現在の
リクだった。
悲しそうに、桜の花びらが舞い散る様を眺めているリクの姿に、私の胸が切なく締め付けられる。
声をかけたくて。
けれど、まるで金縛りにあったように体も唇も動かせない。
リク。
リク。
心の中で呼ぶことしかできずにいると、ふいに視界が揺らだ。
夏の蜃気楼のようにユラユラと。
次いで、色彩がぼんやりと白に染まり始め……