桜涙 ~キミとの約束~


「リクは、幸せになりたくないの?」


本音を聞きたくて、問いかけてしまった。

答えてくれないかも。

そう思ったけど、リクは、唇を動かした。


「……なりたいよ。でも……あったかいその幸せに手を伸ばしたいと思うと……いつも、過去が、あの瞬間が追いかけてくる。逃がさないって。許さないって、言ってるみたいに」


悲しげな笑みとともに。


「……って、まーた暗い話ししちゃったな~。ごめん、気にしなくていいから」


空気を変えるように明るく笑ったリク。

リクが変えたくてそうしたなら、無理に戻すつもりはない。

でも……


「もっと、話してね」


これだけは、伝えさせてね。


「……小春?」

「いっぱい話して、いっぱい教えて。リクのこと」


今みたいに、リクが抱えてきた思いを吐き出してほしい。

少しずつでもいいの。

それを何度も積み重ねていれば、いつか、楽になる時が来るかもしれないから。


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