桜涙 ~キミとの約束~


一人はナチュラルブラウンの髪に柔らかめのパーマがかかった人。

もう1人はアシメスタイルな髪型で、個性的なオシャレが好きそうな人。

どちらもオシャレさんな感じで今時なんだけど、醸し出す雰囲気が微妙に良くない気がした。

けれど私は愛想笑いを作り、とりあえず喫茶店を勧めてみる。


「喫茶店でご休憩はいかがですか? 美味しいケーキセットもありますよ」

「ケーキセットにはキミもついてくるの? だったら行こうかなー」


引き続きニヤついた表情でそう言ったのは、パーマの男子生徒。

距離を詰めるように顔を近づけられて、私は一歩後ずさった。


「いえ、私は──」

「それよりいっそサボって俺らとデートしようぜ」


私の声を遮るようにアシメスタイルの男子生徒が言って、私の腕を掴む。

知らない人の体温に少しの嫌悪感を感じた直後、私の心臓がドクドクとテンポを早めて脈打ち始めた。


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