桜涙 ~キミとの約束~
心臓へのストレスを感じ、頭に浮かんだのは自分の病気の事。
薬はきちんと飲んでるけど、このまま不整脈が出てしまったら……
そんな事を想像して、私の中に恐怖が広がっていく。
とにかく、この二人から離れよう。
そう思って腕を引こうとしたら──
「いててててっ!」
突然、私の腕を掴んでいた人が大きな声で痛がった。
何が起こったのか一瞬わからなかったけど、痛がる男子生徒の背後に覚えのある人の姿が見えて。
私は思わず笑みを零した。
「リク!」
「はい、オレでーす」
ニコッと笑ったリク。
その笑みとリクの存在に、あれだけ感じていたストレスが一気に抜けていくのを感じた。
それにより周りの状況が見えるようになった私は、ギャラリーらしき人たちが心配そうに私たちを見ているのに気付く。