桜涙 ~キミとの約束~
呆気に取られて見つめていた私をよそに、リクが奏ちゃんに向かって親指を立てる。
「ナイスタイミング。オレ、奏チャンが風紀委員で良かったと初めて思ったかも」
「僕は、陸斗が相変わらずのトラブルメーカーで頭が痛いけどね」
本当に頭痛でもしているかのように額に指を当てた奏ちゃん。
その言葉にリクが唇を尖らせた。
「えーっ、オレ一応、小春を守ったんだけど?」
「わかってるよ。小春、大丈夫かい?」
奏ちゃんに尋ねられて私は首を縦に降る。
まわりにいたギャラリーはいつの間にかみんな文化祭を楽しみに戻ったようだ。
「うん、二人のおかげ。ありがとう。でも、文化祭でナンパなんてあるんだね」
「中学とは違うからね。というか小春、そんな格好してるから余計されやすいんだと思うよ」
た、確かにこの格好は声をかけやすいのかもしれない……
何故かお説教されているような気分になり、私はアハハと曖昧に笑った。
リクも奏ちゃんの横で頷いている。
「そうそう。まあ、可愛くてオレは満足だけど」
リクの可愛いという褒め言葉と添えられた笑みに、私の心臓がトクンと高鳴った。