桜涙 ~キミとの約束~
リクが言葉で褒めてくれたりするのは前からなのに。
どうして最近、こうもリクの言葉を意識してしまうんだろう。
「オレもあとで行こうかな~。小春を指名出来る? オレの専属メイドさん」
「私は呼び込み係だよ」
かぶりを振って、まだ少し高鳴っている胸を手でそっと押さえながら答えた。
「なんだ、つまんね。んじゃあ、呼び込みメイドさんの護衛してオレの専属メイドさんにするか」
「それだとどっちかっていうと、専属なのは陸斗の方だろう」
「あ、確かに。メイドさん専属ナイト、みたいな?」
他愛ない奏ちゃんとリク。
二人の会話はいつものテンポ。
なのに、私の心臓だけは今までと違う反応を見せている。
リクの言葉に、微笑みに。
彼という、存在に。