桜涙 ~キミとの約束~
私が頷いてみせると、梢ちゃんは「やっぱりかー。いいねー、愛されてるね~」とからかうように笑った。
愛というフレーズに、私の心が戸惑って。
「愛とか恋とか、よく、わからない」
そのまま、心の中の戸惑いを声にしてしまうと、梢ちゃんは微笑した。
「小春ちゃんに、好きな人はいないの?」
問われて、私の脳裏にリクの姿がよぎった。
トクンと心が反応して、優しくも甘い痛みが私の中に広がっていく。
私……やっぱりリクの事が……?
いつの間にかスカートをギュッと掴んでいた私の手。
梢ちゃんにどう答えていいのかわからない。
言葉にしてしまうのが、怖い。