桜涙 ~キミとの約束~
しばらく沈黙に付き合ってくれていた梢ちゃん。
彼女はそっと微笑みを濃くすると唇を動かす。
「呑み込んじゃもったいないよ」
「……え?」
「言葉を、想いを呑み込んで後悔するくらいなら、言葉にして、精一杯愛おしんで後悔する方が何倍もいいと思わない?」
病気と闘っている梢ちゃんの言葉だからこそ、私の胸に響くものがあったのだと思う。
後悔さえも前向きに考える梢ちゃんに、私は憧れの感情を抱きながら頷いた。
頭の片隅に、リクの存在を残しながら。