桜涙 ~キミとの約束~
「う~ん……何にしようかなぁ」
「まだ決まってなかったの?」
「そう言うよっちんは?」
私が問いかけながらよっちんを見つめる。
すると、彼女は真顔で言った。
「世界平和」
「え」
なんてスケールの大きい願い事と思い口を開けていたら。
「嘘。小春の病気が良くなるように願うよ」
柔らかい声で言って、よっちんが慈愛に満ちた笑みを浮かべた。
「よっちん……」
彼女の優しさに目が熱くなる。
頬を緩めて「ありがとう」と告げた時だった。
たくさんの生徒の向こうに見える昇降口に、リクの姿を見つけた。
リクは1人、校舎の中へと入っていったようだ。