桜涙 ~キミとの約束~
──パシン!
頭に軽い痛みを感じて、私は重い瞼を持ち上げる。
ぼんやりとする思考の中で、私は視線だけをゆっくりと動かしてここがどこなのかを確認した。
見慣れた教室の風景。
耳に届くのはクラスメイトたちの話し声。
誰かが「次って教室移動だっけ」と言っているのが聞こえて、私は今が休み時間なのだと認識した。
どうやら私は授業中から眠ってしまって、夢の中から現実世界に引き戻されたらしい。
とすると、私の頭に感じた痛みはなんなのか。
それを確かめようと机に伏せていた体を起こすと──
「おはよ、小春(こはる)」
目の前に、幼馴染であるリク……本庄 陸斗(ほんじょう りくと)がいた。