桜涙 ~キミとの約束~
リクと百瀬さんがマンションに入っていくのを見つけてから今日まで、校内で二人が一緒にいるのをよく見るようになった。
この前なんか、新谷が「あの二人って付き合ってるんじゃね?」って怪しんでたし。
よっちんは適当な事言うなって、静かな声で新谷を叱ってたけど……
私も、もしかしたら……と考える。
そうすると、心がチリチリと焼けるように痛くなって。
自分勝手な黒い感情が私の中に募っていく。
リクを好きだと自覚して以来、百瀬さんと一緒にいる光景を目撃する度に心が騒いで。
リクの幸せを願っておきながら抱いてしまう嫉妬心。
自分を嫌いになりそうで、リクたちから目を反らして教室に逃げ込もうとした瞬間──
「こーはる~」
リクの声に、呼び止められてしまった私。
見れば、いつの間にか百瀬さんはいなくて。
ニコニコと笑みを浮かべながらリクが歩み寄って来た。