桜涙 ~キミとの約束~
「おはよ。今日、寒いよな」
いつもと変わらないリクの態度。
だから私も、出来るだけいつもと同じような態度を心がけて返す。
「おはよう、リク」
挨拶すると、リクの瞳が柔らかく細められて。
「そのマフラー、今年も使ってくれるんだ」
嬉しそうに、首を傾けた。
リクの綺麗な柔らかい髪が小さく揺れる。
どうして、そんな顔するの?
私が、リクにとって大切な幼なじみだから?
リクの事が、心がわからなくて、返事もできないまま戸惑っていると──
「小春ちゃんオハー」
鞄を肩にかけてだるそうに歩く新谷が声をかけてきた。