桜涙 ~キミとの約束~
『ごめん。24日、ちょっと無理そうでさ』
だから今年のパーティーは25日にしないかと、リクから言われたのが先週だった。
私も奏ちゃんも特に予定もないし、25日でいいと頷いたのだけど……
どうしても、無理な理由に百瀬さんの存在がちらついてしまう。
リクは彼女と過ごすんじゃないか。
だから、今年のクリスマスイヴは、百瀬さんを優先した。
嫉妬心が、私にそんな風に思わせる。
私は隣りに置いてあるクッションを引き寄せると、不安を紛らわせるように抱き締めた。
そして、それでもいいのだと自分に言い聞かせる。
リクが幸せなら、いいのだと。
リクの笑顔を思い浮かべ、クッションに顔を埋めた時だった。
「小春? 具合悪い?」
心配そうなお母さんの声に、私は首を横に振って見せる。