桜涙 ~キミとの約束~


「これは……ああ、旅行のね。この時、小春がぐずって大変だったのよね~」


ぼやいたお母さん。

それは、親戚のおじさんたちが笑顔で写ってて小さな私だけが泣いている物。

自分もだけど、おじさんや家族の若さにちょっと笑ってしまった私。


「みんな若いね」

「ね~。ホント、年は取りたくないわぁ」


言って、お母さんが苦い笑みを浮かべ、また一枚写真を手に取る。

淡いピンクが写っている写真を。


「……あ、れ?」


ピリリと、体に何かが走ったような、そんな不思議な感覚だった。

写真に写っていたのは、桜の木。

どこにでもある、春になると目にする桜の木なんだけど……


似ている、と思った。


夢で見ていた、あの桜の木に。


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