桜涙 ~キミとの約束~
「……お母さん、その場所、教えてくれる?」
確かめよう。
この場所で私と奏ちゃんがどうやって会っていたのか。
私だけじゃない。
奏ちゃんだって忘れている何かがあるのかもしれない。
それなら、行って二人でちゃんと確かめればいい。
そう思った私は、お母さんから写真を貸してもらい、奏ちゃんと約束を取り付けるべく自室に戻ると携帯を手にする。
数回のコール音の後、奏ちゃんの声が聞こえて。
『どうしたの小春』
柔らかく、優しい声色。
私の好きな、穏やかな奏ちゃんの声。
「あのね……奏ちゃんと、行きたいところがあって」
『行きたいところ?』
「うん。空いてる日、あるかな?」