桜涙 ~キミとの約束~


写真の中のように、公園を彩る見事な薄紅の花は咲いてないけれど、枝ぶりは変わらないので間違いない。

目の前にあるのは……



『ずっとずっと、いっしょにいるよ』


『ずっと、いっしょ?』


『うん、やくそく!』



夢の中で見ていた、桜の木。


「……約束の、場所だ」


思わず声がこぼれ落ちると、奏ちゃんが「約束、か……」と静かに言って、桜の木の下に立った。

私も追いかけるように歩いて、桜の木を見上げる奏ちゃんを見つめる。

冷たい風が頬を撫でるように吹くと、奏ちゃんは木を仰いだまま声を発した。


「なんとなく、ここだろうって思ってた」


寂しそうに眉を寄せ、薄く笑った奏ちゃん。

続けて唇が紡いだ言葉は……


「ごめんな、小春」


謝罪だった。



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