桜涙 ~キミとの約束~


「僕はね、陸斗も大切に思ってる。だから、大切な二人が僕を一人にするのが──」


そこで一度言葉を切ると、奏ちゃんは拳をギュッと握って……


「ひどく怖くて、許せない」


まるで、血を吐くように。

痛いよ、辛いよと、振り絞り叫ぶように……


「大切なのに、許せないんだ」


奏ちゃんは告げた。


リクとは少し違うけど、奏ちゃんも孤独を感じている。

そして、私とリクを大切に思い、心の拠り所にしてくれている。



『ぼくは、ひとりぼっちなんだ』



きっと、あの秘密基地で出会ってから、ずっと。


< 330 / 494 >

この作品をシェア

pagetop