桜涙 ~キミとの約束~
私が強く頷いてみせると、奏ちゃんは笑みを漏らした。
そしてまた、桜の木を見上げる。
「約束の桜の木、か……。ここで、約束したんだよね。男の子と」
「そう、みたい」
曖昧な返答に奏ちゃんは小さく笑ってから、私に視線を戻して。
「僕も……約束するよ」
約束という言葉を、口にする。
「僕らは幼なじみ。何があっても、どんなに遠く離れてても、僕も小春の味方だ」
まだ、わだかまりは消えてない。
けれど、奏ちゃんがくれた約束は温かくて優しいもので……
「ありがとう、奏ちゃん」
きっと、大丈夫だと思えた。
私たちはまた、穏やかな関係に戻れるのだと。