桜涙 ~キミとの約束~
階段を下る慣れた足音を耳に、私はコートを脱ぐ。
それをハンガーにかけ、クローゼットの扉にあるフックにかけると、私は深く息を吐いた。
リクにはバレないように接したけど、体に感じる倦怠感と息苦しさ。
やはり少し無理をしすぎたかもしれない。
今更だけど、反省していた私の視界で、一瞬、キラリと何かが反射した。
突如飛び込んできた光の正体が気になって、私はそれがある机まで移動する。
乱雑に物が置かれた机上。
ノート、雑誌、筆記用具、小箱。
theお土産といった感じの小物たち。
それらとは別、僅かに開いていた引き出しの中に、それはあった。
そっと手に取ってみると──
「……これ……」
どこかで、見た事がある気がした。