桜涙 ~キミとの約束~
「……もうっ、本当に恥ずかしいんだけど」
「実は、言ってるオレもけっこー恥ずかしいんだ」
「えぇっ? 前からリクって、からかって似たような事言ってたよね?」
「小春が相手なら、冗談めかしてても、ココロん中じゃ反応見て一喜一憂してたんだって」
「そんな風に見えなかったけど……」
現に、今だって恥ずかしそうには見えなくて、私は瞬きしてリクをマジマジと観察してしまう。
すると……
「見えないようにするの、得意だから」
そう言って、リクは笑ってみせる。
隠しすぎて、堪えすぎて、いつの間にか身についてしまった悲しい特技。
マフラーをとるリクを見ながら私は願いを声にする。
「リクも見せてね」
「え?」
「これからは、少しずつでいいから隠さないで、私にも見せて」
それは、文化祭の準備をしている時も思った事。
リクの事、いっぱい話して、いっぱい教えて欲しい。
リクが何を感じて、何を思っているのか。
悲しみも、苦しみも、分け合えるようになりたい。
リクの支えになりたい。
幼なじみとしても。
彼女としても。