桜涙 ~キミとの約束~
残された私とリクは適当に座ると顔を見合わせる。
と、リクの顔がちょっとだけ呆れたものに変わって。
「なんか……相変わらずだね、奏チャンのお母さん」
いつもよりも静かな声でそう言った。
私は苦笑いしつつ「うん……」と頷いて、それから黙ってしまう。
昔から奏ちゃんにだけどこか冷たい奏ちゃんのお母さん。
奏ちゃんの家に初めて遊びに行った時からそうだった。
仲が悪いのかと子供ながらの正直さで聞いたことがあったけど、奏ちゃんはその時「そんな事ないよ」と悲しそうに微笑んだのを覚えてる。
あれからもう七年も経つのに、奏ちゃんのお母さんの態度は変わらない。
どうして母親がそんな態度をとるのか。
その事について奏ちゃんから話して来ないから、私もリクも最初の時に一度聞いたきり触れていない。