桜涙 ~キミとの約束~
想像もしていなかった、クリスマスパーティーの開催。
聞けば、昨日の夜のうちにリクと奏ちゃんが話し合って、病室でパーティーをする事に決めたらしい。
どうせなら、小春には内緒にして喜ばせよう、と。
幼なじみ二人の優しいサプライズに、私の瞳に喜びの涙が溢れる。
「ありがとう、二人共」
リクの心遣いはもちろんだけど、昨日の事があっても、こうして来てくれた奏ちゃんの気持ちも凄く嬉しかった。
それから、私の体の事を考えて、塩分や脂肪分に考慮したケーキを作ってくれた奏ちゃんのお父さんに、退院したらすぐにお礼を言いに行こうと決めて。
「そんじゃ、メリクリ~!」
リクの乾杯の音頭で、あったかくて優しさの詰まったクリスマスパーティーが始まる。
ケーキを食べて、プレゼント交換もして。
リクのは奏ちゃんへ。
奏ちゃんのは私に。
私のはリクへ。
白い壁に囲まれた殺風景な病室が、私たちの笑顔で彩られていく。
それは、くだらない会話まで特別に感じる楽しい時間で……