桜涙 ~キミとの約束~


気がつけば、あっという間に日は傾きはじめていた。

空になったケーキの箱をたたむ奏ちゃん。

私も紙皿やフォークを片付けていると、リクがお財布を手に立ち上がった。


「オレ、コーヒー買ってくる」


みんなのも適当に買ってくる。

そう言い残して、売店へと買い物に出たリク。

パタン、と扉が締まると──


「陸斗と、話しは出来た?」


奏ちゃんが話しかけてきた。


「うん。奏ちゃんの推測、当たってた」

「そうか……」


かぼそい声で相槌をうつ奏ちゃん。

それ以上、何も声にはしない。

訪れた沈黙に、私はリクとの関係を奏ちゃんに伝えるべきか迷った。


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