桜涙 ~キミとの約束~
「いらっしゃいリク君。あけましておめでとう」
「あけましておめでとうございます」
ニッコリとキュートな笑顔で挨拶したリクに、お母さんも笑みを浮かべた。
「今、飲み物とおせち用意して持って行ってあげるわね」
「やった! オレ、小春のお母さんの伊達巻チョー好き」
ああ、そういえば毎年それだけは食べに来てるよね。
食べて行けない時は持って帰るもんなぁ。
お母さんはクスクスと笑って、良かったら持って帰ってねと言うとリビングへと戻っていった。
それに合わせて私たちも二階にある私の自室に移動する。
部屋に入ってすぐにリクのダウンジャケットを預かりハンガーラックにかけると、クッションに腰を下ろしているリクの向かい側に座った。
「あ、そうだ。奏チャンにも連絡したけど、今年はパスだってさ」
「……そっか」
「奏チャンに話した? オレたちの事」
リクの質問に、私は首を小さく横に振った。